一年を春夏秋冬の4つの季節に分け、さらにそれぞれを6つに分けた二十四節気は、今でも季節を表す言葉として用いられています。「立春」から始まり、第二節気がこの「雨水」です。
雨水は「うすい」と読みます。決して「あめみず」とか「あまみず」というふうには読まないで下さい。まあ意味合いとしては同じと言えば同じなのですが、この場合はひとつの節気としての固有名詞ですから、必ず「うすい」と読んで下さい。
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二十四ある節気
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二十四節気は、戦国時代の頃の中国で考案された、太陽の黄道(こうどう)上の動きを視黄経の15度ごとに24等分して約15日ごとに分けた季節のことです。
太陽の動きと密接な関係を持つ二十四節気の考え方は、特に農作業に従事する者にとっては、春夏秋冬の季節を比較的正確に感じることができました。
それが江戸時代以降、日本の暦でも使われる様になりました。ただし中国と日本とでは緯度も経度も違いますから、日本で実感する季節感とは合わない名称や時期も二十四節気の中にあるのは仕方のないことなのです。
雨水とはいつのこと?
雨水の定義は三つあります。最も一般的なのは、第二節気になったその日のこと、つまり2月19日頃の一日を指します。次の第三節気である「啓蟄(けいちつ)」までの約15日間という期間を指す場合もありますし、天文学的にはこの日に差し掛かった瞬間だけを意味するそうです。
二十四節気は全方位360度の太陽の黄道を基に考え出されていますので、分母は360、それを24で割っています。ですから一つの節気の期間は15になるのですが、これを単純に15日と言い切ることはできません。
なぜなら現在我々が使っている暦法では、一年は365日乃至366日ですから、分母は365又は366となります。それを24で割れば、当然小数点以下の端数が生じてしまいます。
節気は毎年必ず同じ日にやってくる訳ではありませんし、その間隔も毎回15日丁度とはなりません。
だから、「頃」とか、「約」とか、曖昧な言葉を足さざるを得ないのです。
雨よりもまだまだ雪深い季節
雨水とは、文字通り「あまみず」です。この節季が始まれば、空から降るものが雪から雨に変わり、氷が溶けて水になる、という意味です。だから、雪解け水と言っても良いでしょう。
春一番が吹き、草木が芽生える頃で、鶯の鳴き声が聞こえ始める地域もあり、昔から、農耕の準備を始める目安とされてきました。
ところがそれはあくまで中国での話であって、実際は積雪のピークで寒さが一番厳しい時期です。しかしそうだからこそ、この時節を境に寒さも峠を越え、大雪も落ち着いていくと考えることもできます。
ピークが過ぎれば三寒四温
雨水になっても日本では、本格的な春の訪れには全般的にはまだ遠く、大雪が降ることもしばしばあります。三寒四温(さんかんしおん)を繰り返しながら、春に向かっていきます。
三寒四温とは、寒い日が三日ほど続くと、その後四日間ぐらいは暖かい日が続くということです。これを繰り返しながら、徐々に暖かくなっていきますから、三寒四温が始まり出せば、いよいよ春も近いということです。
雨水にやるべきこと
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話は変わりますが、雨水の期間も終わって次の啓蟄になる少し前、3月3日は桃の節句(上巳/じょうし)で雛祭です。この時の雛人形ですが、雨水に飾り始めると縁起が良いとされています。
その理由は諸説あるようですが、有力な考えとしては二つあります。一つは水と関係します。水は命の根源であり、母体そのものです。水の神様は、子宝の神様でもあります。だからお雛様を雨水に飾ると縁起が良いとされているのです。そもそも上巳の行事は水と深く関係しています。
もう一つは、雪が解け草木が芽吹く季節のはじまりということで、新緑が芽吹くように良い縁が芽吹くといった考えです。
ただ2月中下旬以降の大安の日に飾り始めると良いといった説もあり、こちらの方が単純明快で、理にかなっているのかも知れません。
まとめ
二十四節気の第二節気である「雨水」は、「うすい」と読みます。空から降るものが雪から雨に変わり、氷が溶けて水になる季節です。2月19日頃です。
実際には積雪のピークで、寒さが一番厳しい時期です。中国の国土に合わせて考え出されたものを日本に適用してみても、大なり小なり季節感にズレが生じてしまうのは致し方ありません。
しかしこのピークを過ぎれば、三寒四温を繰り返しながら、春は確実にやって来ます。結局一番寒い時期が、一番春が恋しい時期ということですね。