入梅という日から気象庁の宣言とは関係なく暦の上では梅雨入りです。

入梅にゅうばいと呼ばれる日があるのをご存知でしょうか。例年気象庁きしょうちょうが発表する梅雨入りつゆいりした日のことではありませんよ。

梅雨入りの日は各地方によってまちまちですし、北海道に至っては梅雨という時期すら存在しません。ところが入梅れの日は日本全国みな同じ日、そして梅雨のない北海道にだって入梅はあるのです。

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目次

入梅は雑節という暦日

入梅は雑節ざっせつの一つであり、毎年概ね6月11日頃のことです。昔は立春りっしゅんから数えて135日目だとか、芒種ぼうしゅを過ぎてから最初のみずのえの日などとされていましたが、現在では太陽黄径80度の日と、天文学的に定められています。

立春も芒種も暦日で、特に6月6日頃のことである芒種の方は、梅雨を意味するに等しい言葉ですが、こちらは二十四節気にじゅうしせっきといって、古代中国で考案されたものです。

一方で入梅は、雑節というものの一つで、日本人の生活文化から生まれた日本独自のものです。ですから芒種よりも入梅の方が、梅雨を表すには日本の気候風土により近いものです。

それから芒種の方は、梅雨の時節になりましたという意味であって、その日をもって直ちに梅雨入りしたことを意味しているのではありません。

しかし入梅の方は、梅雨入りを明確に意味します。この日は日本全国どこでも梅雨の始まる日なのです。ただし、繰り返しますがあくまで暦の上での話です。

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梅雨入りは気象庁が判断した日

本当の梅雨入り、と言いますか、気象学的な梅雨入りの日は、気象庁が発表する梅雨入り宣言で、梅雨入りしたとされる日です。

南北に長い日本列島ですから、場所によって早い遅いが生じてしまいます。ですから暦日の入梅とは違い、気象学的には各地方で梅雨入りの日が違うのは当然です。

気象庁の発表

気象庁は、かつては梅雨入り当日に梅雨入り宣言していたものですが、近頃では後日になって、この日に梅雨入りしたものと思われるなどと、非常に曖昧な言い方をするようになりました。

梅雨入り、そして梅雨明けに関しても、その判断にはちゃんとした定義があります。しかしそれでも、実はその見極めはとても難しいらしいのです。気象庁のスーパーコンピューターをもってしてもそうなのです。

それで以前、宣言したものの大きく外してしまい、クレームが殺到してしまって、確定的な言い回しをやめてしまったのです。それどころか、クレームを受けてからは2年間程発表自体も行いませんでした。

しかしながら、それでもやっぱり気象庁の発表を望むという要望が多く、それを受けて気象庁は再び発表を始めました。ただし、それ以降は断定的言い方を避けるようになったのです。

ですから、未だに慣習的に梅雨入り宣言だの梅雨明け宣言だのという表現が使われていますが、正確に申し上げれば、近年の気象庁の発表は宣言ではありません。事実気象庁は、今では宣言という言葉をどこにも使っていません

おわりに

気象の専門家である気象庁ですら見極めることの難しい梅雨の期間。かつては、梅雨明けの日を発表しないまま秋を迎えてしまった年もありました。

ならばいっそのこと、梅雨前線を基準とした複雑な気象学などに頼らずに、今後は昔のように、単にこの日をもって梅雨入りとするという暦日に頼ってみてはどうでしょうか。

入梅という雑節はあっても出梅という雑節はありませんが、気象庁ですら梅雨明け発表しなかった時もあったのですから、何月何日をもって梅雨が明けたかなどは大して重要ではなく、暑くなったら時節は夏、それで良いのではないでしょうか。

温故知新おんこちしん。複雑で多様化した現代社会こそ、ふるきをたずねて新しきを知るべきです。

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