世界中見渡せばいろいろな種類の茶があるにもかかわらず、この国でお茶と言えば、別段の補足の必要もなく日本茶のことを示す場合がほとんどです。
どんなに薄くても、どんなに渋くても、お茶を下さいと言えば普通は日本茶が出てくるわけで、それ程日本人とお茶の関わり合いというのは深くて長いのです。
目次
日本茶とは
日本茶とは言うまでもなく日本で作られる茶のこと。かつては紅茶や烏龍茶も日本で栽培製造された時期もあったので、その場合は紅茶も烏龍茶も日本茶になります。
しかし一般的には、日本茶というのは概ね緑茶のことを指します。ほとんどの日本茶は不発酵茶である緑茶なのです。
一方でごく一部、中国茶によく似た発酵茶が製造されていいますが、そは漬物茶と呼びます。
日本茶の種類
前述に加え、、日本茶には製造方法から大別して三種類があります。
不発酵茶
日本独自で発展した製法で、蒸すことで加熱処理をして酸化・発酵を止めたのち、大概は揉んで、乾燥させる製法をとります。茶葉は摘んでまもなく加熱処理されるのですぐに発酵が止まります。多くの緑茶がこれに該当します。
半発酵茶
茶の葉を摘採後、天日に晒すなどしてある程度発酵させ、ほどよく進んだ段階で釜で炒って加熱し発酵を止める製法で作ります。釜炒り茶と呼ばれるもので、烏龍茶のような中国茶に近い製法です。
発酵茶
摘み取った茶葉を萎れさせて水分を取り除き、それをよく揉んでから解して十分に発酵させ、さらに一定時間静置して乾燥させる製法です。いわゆる紅茶がこれに該当します。
茶の種類の体系
わかりやすく体系的に示すとこのようになります。
不発酵茶(緑茶)
・挽茶
・抹茶
・煎茶
・玉露(高級品)
・煎茶(中級品)
・番茶(下級品)
・出物茶(選別の工程ではじかれたもの)
・茎茶(棒茶)
・芽茶
・粉茶
・ほうじ茶
・玄米茶
・豆茶
半発酵茶(釜炒り茶)
・玉緑茶
・番茶
発酵茶(漬物茶)
(例)徳島の阿波番茶、高知の碁石茶、愛媛の石鎚黒茶、岡山の玄徳茶、富山のばたばた茶など。
日本茶の歴史と文化
奈良・平安時代に中国を往来した遣唐使、即ち最澄や空海などの留学僧が、留学先の唐から茶の種子を持ち帰ったのが、わが国の茶の歴史の始まりとされています。
時は流れて建久2(1191)年、やはり僧侶であった臨済宗の開祖・栄西が宋から2度目の帰国をした際に、抹茶の元となるお茶とその飲み方を持ち帰りました。それまでの茶の飲み方があまり普及せず、遣唐使の廃止とともに廃れていました。そこで栄西は現在の日本茶に近い飲み方を持ち帰り、茶に関する日本最古の書「喫茶養生記」を記したりして日本に茶の文化を広めたのです。
さらに時代は下って天正15(1587)年、時の権力者豊臣秀吉はかの有名な「北野大茶湯」という茶会を催しました。
これは大名も庶民も外国人も参加できるという画期的な茶会した。
秀吉のほか、千利休、津田宗及、今井宗久といった当時最高峰の茶人が茶をふるまい、非常に高価な茶器も展示されました。
日本独自の茶の文化がこの頃完成したのです。
「日本茶の日」というのが2回もある
「日本茶の日」というのが制定されているのですが、今や日本の歴史と文化を語るのになくてはならない日本茶の存在である故か、「日本茶の日」というのは1度ならず2度もあるのです。
1度目は前述の豊臣秀吉が大茶会を開催したとされる10月1日を記念して制定されたもの(制定者株式会社伊藤園)、もうひとつはその前の栄西が帰国したといわれる日、10月31日を記念して制定せれたもの(制定者不詳)です。
どちらが正しくてどちらが間違いということではありません。どちらも「日本茶の日」として認定されており、どちらも日本茶に関する各種イベントが繰り広げられる日なのです。
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まとめ
「日本茶の日」というのが年に2度もある日本茶。それ程日本にとって意義のある存在と言えるでしょう。
日本茶のイベントに参加して風流を味わい、秋の夜長を大いに満喫してみて下さい。