2019年4月30日、天皇陛下の最後の儀式で平成の時代は幕引きとなる。

2019年4月30日平成最後の日です。平成は31年と4か月をもって幕を閉じます。この日を最後に今上陛下が譲位じょういされるからです。元号法本則第二項、「元号は、皇位の継承があった場合に限り改める」との記載に基き、譲位後は平成でなくなり、違う元号になります。

譲位は何と、江戸時代の光格天皇こうかくてんのう(第119代、在位 : 安永8(1780)年11月25日~文化14(1817)年3月22日)以来、実に200年振りのことです。今上陛下が第125代ですので、6代前の天皇ということになります。現在の天皇家の直系の祖にあたる天皇です。

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退位礼正殿の儀

皇居内には天皇が国事行為、皇室行事などの儀式を行う施設である宮殿きゅうでんがあります。初めは明治21(1888)年10月7日に落成しました。世に言う明治宮殿めいじきゅうでんです。因みに翌明治22(1889)年2月11日の大日本帝国憲法発布式は、この明治宮殿で行われました。

しかし、第二次世界大戦末期の昭和20(1945)年5月25日の東京大空襲で、明治宮殿は全焼してしまいました。
その跡地に次の宮殿が完成するのは、日本の復興が一段落した昭和43(1968)年まで待たなければなりませんでした。同年11月14日に落成したこの宮殿は、明治宮殿と区別するために、新宮殿しんきゅうでんとも称されています。

その新宮殿は、正殿豊明殿連翠長和殿千草・千鳥の間表御座所北棟表御座所南棟の7棟からなっています。その中で正殿は竹の間、松の間、梅の間の三室があり、宮殿の中心となる殿舎として、重要な諸儀式はここで執り行われます。

つまり正殿の儀というのは、宮殿の正殿で執り行われる儀式という意味です。今上陛下が譲位されるにあたって、正殿の儀が執り行われるのが、平成最後の日である、平成31年4月30日なのです。

正殿の儀は数ある儀式の最後の儀式

この正殿の儀によって平成の御代は幕を下ろしますが、実は儀式はこれだけではありません。譲位のための儀式は全部で11回もあり、正殿の儀が11回目の最後の儀式なのです。

譲位されるにあたっての関連諸儀式は次の通りです。
平成31年3月12日
・賢所に退位及びその期日奉告の儀
・皇霊殿神殿に退位及びその期日奉告の儀
・神武天皇山稜及び昭和天皇以前四代の天皇山稜に勅使発遣の儀
平成31年3月15日
・神宮に奉幣の儀
・神武天皇山稜及び昭和天皇以前四代の天皇山稜に奉幣の儀
平成31年3月26日
・神武天皇山稜に親謁の儀
平成31年4月18日
・神宮に親謁の儀
平成31年4月下旬
・昭和天皇山稜に親謁の儀
平成31年4月30日(平成最後の日
・退位礼当日賢所大前の儀
・退位礼当日皇霊殿神殿に奉告の儀
退位礼正殿の儀たいいれいせいでんのぎ

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譲位は憲政史上初

皇位継承後の一連の儀式については、法律の定めるところであり、前例もありますが、譲位については、前回が約200年も前の、憲政史上では初めてのことなので、明確な取り決めがありません。

しかし125代の歴代天皇のうち、譲位したケースは半分弱の58例もあり、譲位の儀式は奈良時代には行われていたとみられます。そして、平安時代に編纂された宮廷儀式書に記された式次第を基に、伝承されてきたといわれています。

最後の譲位は第119代の光格天皇の文化14(1817)年でしたが、この時も光格天皇は、伝承された式次第に従って、同様の儀式を行っています。

今回の今上陛下の譲位に関する一連の儀式は、宮内庁が代替わり関連儀式の実施方法を協議する準備委員会を設置した上で、過去の文献を紐解いて、そこに残る様式を参考にしながら、政府とともに具体的に検討してきたものです。

諸儀式の名称は退位の礼

平成28年(2016)8月8日、高齢となった天皇の在り方や崩御による混乱を心配し、天皇の務めが安定的に引き継がれることを願われた陛下のお言葉おことばがビデオメッセージとして発せられました。

その実態は明らかに譲位でしたし、後に陛下自身も、平成31(2019)年2月5日の、ドイツのメルケル首相との懇談に際して、譲位という言葉をお使いになっています。

しかし何せ憲政史上初の出来事であり、その裏付けが法律にありません。そこで政府は「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」の規程を急ぎ、同法は平成29(2017)年6月16日に成立、同年6月16日に公布されました。

しかしこの法律においては譲位という言葉を使用せず退位たいいという言葉を使っています。それは恐らく、制度論を語る文脈上において、敢えて私的な意味合いと捉えられかねない譲位という言葉を避けたからでしょう。

陛下の譲位に関する一連の儀式を、公的には全て退位の礼たいいのれいと呼んでいるのは、そのためです。

おわりに

日本国の象徴であらせられる天皇陛下は、象徴という極めて曖昧な法律上の言葉によって多岐に亘ってご公務をされています。その一方で、天皇陛下は日本国とその国民の安寧を毎日願い続けていらっしゃる存在でもあらせられるのです。

そういった地道なご活動は、本来は草民のために祈りを捧げて下さるということこそが御使命であるにも関わらず、今の大手報道関係各社がこの事実をきちんと伝えているところはひとつもありません。

かつて、日本は神の国だと発言して、猛批判を浴びせられた内閣総理大臣がいましたが、この歴然とした事実の発言に対して、一体何の問題があるというのでしょうか。
仮に三権の長さんけんのちょうが言うべきではないということならば、市井の臣しせいのしんである私が、ここで声を大にして申し上げます。

日本は神の国です。その八百万の神やおよろずのかみに、平成が最後となる日ですらもいつもと同じように、国家と国民の安寧のために、天皇陛下は祈っていらっしゃるのです。

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