一口にお年玉付年賀はがきと言いましても、年賀はがきはいろいろなものが販売されています。既定の大きさや素材であれば、なにもわざわざお金を出して買わなくても、自分で作ったって構いません。ただし切手代は必要ですよ。
でも私製の年賀はがきではいけないのです。郵政省はとっくの昔にありませんから、官製という言葉はもう古いのですが、いわゆる官製年賀はがきというやつでないと、ここで言うお年玉は付いてはきません。
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お年玉付年賀はがきの歩み
敢えて説明するまでもありませんが、お年玉付と言っても、付いているくじに当たると賞品がもらえるという事で、本当のお年玉の様に、お金がもらえる訳ではありません。
だから正確には、お年玉付年賀はがきではなく、お年玉くじ付年賀はがきと言うべきでしょう。
官製はがきで年賀はがき完成
お年玉くじ付年賀はがきの制度は、昭和24(1949)年に始まりました。それ以前は、通常の官製はがきを年賀状として使っていただけでした。
なぜこの時に年賀専用の特別はがきが誕生したのでしょうか。それは、長かった戦争の影響からです。
戦前盛況だった年賀状のやり取りも、戦後暫くは世の中全体が沈滞した雰囲気の中で、浮かれた気分になるどころではありませんでした。
民間人が発案した官製年賀はがき
この打ちひしがれた気分から脱却しようと立ち上がったのが、ひとりの民間人でした。その名を林正治といい、彼はそのための或るアイデアを思いつきます。
年賀が戦前の様に復活し、やり取りが活発化すれば、戦争で音信不通となってしまった人の消息も分かるし、何よりも世の中が明るくなるのではないかと考えた彼は、ふたつの事を郵政省に積極的に働きかけました。
ひとつは年賀状に賞品の当たるくじを付ける事、もうひとつは寄附金を付加して戦後の復興に役立たせる事です。
アイデアを持ち込まれた郵政省の方では、国民が困窮している時代に、賞品が当たるなどと、悠長な事を言っている場合ではないと、いかにも役人らしい批判もあったりしました。
しかし紆余曲折を経ながらも、アイデアが採用されることに決定し、官製の年賀専用はがきというものが誕生したのですが、それは即ち、同時にお年玉くじ付きはがきの始まりなのです。
賞品の推移
この記念すべき第一回の時の賞品は、特等がミシン、一等が純毛洋服地、二等が学童用グローブ、そして三等が学童用こうもり傘でした。
特徴的なのは、子供に視線が向いている事です。これはこの時代のベビーブームの反映と言えます。またこの当時の庶民の夢に、ホームメイドで洋服を作れる家庭というのがあった事が、特等と一等の賞品からうかがい知る事ができます。
昭和41(1966)年以降は特等が廃止されますが、現在に至るまでの賞品の最高位賞を見ていくと、時代背景が浮かび上がってきます。
昭和31(1956)年には電気洗濯機、昭和35(1960)年にはフォームラバーマットレス、昭和40(1965)年以降はポータブルテレビや8ミリ撮影機・映写機セットなどが続きます。
更に昭和59(1984)年には電子レンジが、昭和61(1986)年にはビデオテープレコーダーが登場します。庶民の手が届きそうでなかなか届かない、ちょっと高級なものが賞品に採用されました。
その後平成の時代になってからは、海外旅行や最新式テレビ、パソコン等、数点の中から1点を選択するやり方に変わりました。これはバブル景気とその崩壊、そして、その間に進行した消費の多様化を反映していると言えるでしょう。
平成ラストは超豪華
そして近年、最高賞品はとうとう現金になってしまいました。平成31年の賞品は、一等が現金30万円又は同額相当のプレミアム賞品(憧れの実現や最新技術の体感をコンセプトとした旅行や特別な体験型プラン他)、二等がふるさと小包等、三等がお年玉切手シートです。
以上は、いわば通常の賞品ですが、平成31年は、通常でない賞品もあります。一部の種類の年賀はがきに限って、東京2020大会応援賞が当たります。
これに当たると、東京2020オリンピックへ、ペアで招待されます。しかも、旅費(交通費、宿泊費)に充当できる(全額保証するものではない)旅行券付きです。
その対象となる種類とは、東京2020大会[寄附金付]年賀はがきの無地(インクジェット紙)・絵入り・特殊印刷、2019 年用年賀はがきの無地・無地(くぼみ入り)・無地(インクジェット紙)・無地(インクジェット写真用)の7種類です。ですから、一部というよりも、殆ど全部です。
まだあります。通常は年に一度のみの抽選で、もちろんそれは当たり前の事ですが、平成31年は、何と、抽選が2回もあるのです。
1回目は平成31年1月20日日曜日。上述したふたつの抽選です。2回目は平成31年4月20日土曜日。ダブルチャンス賞と称して、郵政記念日である4月20日(土)に、シリアルナンバー入り特別仕様の切手シートが当たります。
更には、年賀状を受け取った人だけでなく、送った人(正確には購入した人)にも抽選で賞品がもらえます。送る人にも福来たるキャンペーンと銘打って、A賞からE賞までの5種類の電化製品が用意されています。
但しこれには唯一条件があって、一度に50枚以上購入しないと抽選券がもらえません。
おわりに
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平成ラストを華やかに彩る豪華懸賞品の数々。基本的にはもらった年賀状で抽選するのですから、リスクは全くのゼロです。これまた何と素晴らしいシステムなんでしょう!
とは言うものの、自分が送らなければ、相手も送ってくれないでしょうし、仮に自分が送っていない相手から届いたとしても、その時点で自分からも相手に送ってあげるのが大人としての最低限の礼儀でしょう。
それに今回は送る側にも賞品がもらえるチャンスがあります。いつも年賀状は出さないと豪語している人も、せめてこの冬だけでも、年賀状を自らしたためてみては如何でしょうか。きっといい事ありますよ!