天皇陛下御在位三十年記念式典が、平成31(2019)年2月24日日曜日、午後2時より、東京都千代田区の国立劇場で執り行われました。謹んでお祝い申し上げます。
間もなく天皇陛下の御譲位と、皇太子殿下の御践祚という歴史的節目を新たに迎えようとしています。平成の御代は、その時終わりを告げます。
この30年の御代を振り返れば、陛下は日本国及び日本国民統合の象徴として、ひとえに日本国の平和と安寧のためのみに、天皇としての長い旅を続けてこられ、あまねく全ての国民に寄り添ってこられました。そのお姿に対して我々国民は、深い敬愛の念を抱かないではいられません。
目次
式典次第
今回の記念式典は、①天皇皇后両陛下御臨席から始まり、両陛下が御臨席された後、②開式の辞が菅義偉内閣官房長官より述べられ、③国歌斉唱となり、参列者全員で国歌を斉唱します。それから各方面からのお祝いの言葉が述べられていきます。
先ず安倍晋三内閣総理大臣による④式辞があり、次に大島理森衆議院議長、伊達忠一参議院議長、大谷直人最高裁判所長官、マンリオ・カデロ在本邦外交団団長サンマリノ共和国特命全権大使の御三方による⑤祝辞が述べられ、そして内堀正雄福島県知事と川口順子元参議院議員・元外務大臣・元環境大臣による⑥国民代表の辞へと続きます。
お祝いの言葉の数々が一段落すると、女優の波乃久里子氏による⑦御製及び御歌朗読があります。御歌とは皇族が詠った和歌のことで、その中でも特に天皇のものは御製と言います。
ここで⑧記念演奏が行われます。歌手の三浦大知氏とソプラノ歌手の鮫島有美子氏が、それぞれ天皇皇后両陛下に関連の深い歌を1曲ずつ歌います。
一連の祝賀が終わり、答辞としての⑨天皇陛下のおことばがあり、陛下がお言葉を発せられます。お言葉を聞き終えたら⓾万歳三唱となり、内閣総理大臣が天皇陛下御在位30年を祝って万歳を三唱し、参列者一同がそれを唱和します。
これで記念式典の行事は終了し、⑪閉式の辞が内閣官房長官より述べられます。これにより⑫天皇皇后両陛下御退席へと進み、両陛下が御退席され、記念式典が終了します。
以上が式典次第です。式典進行役はフリーアナウンサーの草野満代氏です。
三浦大知による記念演奏
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記念式典の中でも、あらかじめ特に注目を集めていたのが、記念演奏でした。天皇陛下が御作詞され、皇后陛下が御作曲された「歌声の響」を、三浦大知という若い人気歌手が両陛下の御面前で歌って披露するという大役を担ったのです。
三浦大知は沖縄出身であり、子供の頃より活動していましたが、特にここ最近の活動は著しく、抜群の歌唱力と卓越したリズム感から、日本のマイケル・ジャクソンとも称される、若いながらも実力の伴ったメジャー歌手です。
「歌声の響」は、沖縄周辺の島々に八・八・八・六の音数律で伝わる琉歌です。天皇皇后両陛下は、まだ皇太子皇太子妃両殿下であった昭和50(1975)年に、初めて沖縄を訪れました。この歌は、その時の思いから出来ています。
療養所の人たちが、両殿下(当時)のご訪問に謝意を表すのに歌った、地元の船出歌「だんじょかれよし」という歌を歌って当時の両殿下のご訪問に謝意を表しました。その歌の響きと、見送ってくれた時の療養所の人たちの笑顔が陛下の心に残っているという思いを綴られたのが「歌声の響」なのです。
この当時、ハンセン病患者は強制隔離する政策がとられており、ハンセン病患者はまだまだ根強い差別や偏見に苦しんでいましたが、これを機にその後も療養所の慰問を続け、ハンセン病患者らに寄り添い続けられた両陛下は、平成26(2014)年には、国内にある療養所14施設すべての入所者との交流を果たしたのです。
鮫島有美子による記念演奏
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一方、見逃してはいけないのは、ソプラノ歌手である鮫島有美子の歌ったもうひとつの歌です。こちらは「おもひ子」という題名であり、「歌声の響」同様、御作曲は皇后陛下の手によるものです。
新しい時代の皇室づくりのために、天皇陛下とともに様々な工夫をされた皇后陛下ですが、お若い頃、幼子を残しての海外ご公務に際し、寂しがらないようにテープレコーダーに吹き込こんで聴かせた子守歌というのが、この「おもひ子」です。詩は、明治から大正にかけて活躍した詩人の宮崎湖処子によるものです。
鮫島有美子は知る人ぞ知る、日本を代表するオペラ歌手です。ウィーンに在住していますが、日本の歌もよく歌い、平成2年には第41回NHK紅白歌合戦に紅組出場歌手として出演しています。
皇室とも関係浅からぬ人で、今回の記念演奏で、両陛下の御面前で皇后陛下の作られた子守歌を歌うという栄誉に浴している他、それ以前よりもともとこの「おもひ子」をCDに吹き込んで歌っています。この度三浦大知が披露した「歌声の響」も、実は鮫島有美子が既にCDに吹き込んでいます。
天皇陛下御在位記念式典は、御在位10年の時と、御在位20年の時も執り行われました。鮫島有美子は、天皇陛下御在位二十年記念式典での記念演奏でも歌を歌っています。
その他の過去の演奏者
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なお20年記念の時、天皇皇后両陛下の御面前でEXILEが歌と踊りをお見せし、ボーカルのATSUSHIがそれまで人前でずっとしていたサングラスを初めて外して歌ったことはよく知られています。
しかしこれは国立劇場で執り行われた政府主催の天皇陛下御在位二十年記念式典においてではなく、同日皇居前広場で開催された、天皇陛下御即位二十年奉祝委員会と天皇陛下御即位二十年奉祝国会議員連盟という団体が主催した、天皇陛下御即位二十年をお祝いする国民祭典で献納したものですので、混同されないようお願いします。
因みに10年記念の時では、X JAPANのメンバーであるYOSHIKIがピアノ奉祝曲を、両陛下の御前で演奏したのが有名ですが、この時も同様に公的な天皇陛下御在位十年記念式典の方ではなく、任意団体の主催した天皇陛下御即位十年をお祝いする国民祭典という方での演奏です。
これに際してYOSHIKIは、奉祝曲は制作当初20分以上の長さであったものを、両陛下が起立した状態で自分の演奏をお聴きになられると知らされ、結局8分弱に短縮したものを演奏したそうです。
おわりに
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EXILEのATSUSHIにしても、X JAPANのYOSHIKIも、思わずアナタタチ、ホントハ、ナニジンデスカとでも聞きたくなってしまうネーミングですが、この人たち、名前は欧米風でも、その心根や行動は、立派な日本男児である、と私は思います。