皆さん、日頃ネクタイを着用されていますでしょうか。
近年では高学歴化や人口減少に加え、若者がいわゆる3K労働を敬遠する傾向が顕著です。また経済成長を支えてきたものづくりが空洞化し、IT企業の躍進目覚ましく、サービス産業主体の世の中に、すでに日本は移行しています。
今やホワイトカラーの割合がブルーカラーを上回る時代、多くの人がネクタイを必需品としているでしょう。仕事でネクタイを着用する必要のない人でも、プライベートで、冠婚葬祭用としても、何本かは持っているかと思います。
目次
「ネクタイの日」というのがある
あなたは日頃ネクタイを服装の一部として意識して締めていますか。それとも服装の一部と思って何気なく締めていますか。
いずれにせよ、「ネクタイの日」というネクタイにとって特別な日がある事をご存知でしょうか。
10月1日
明治17(1884)年、帽子商であった当時24歳の小山梅吉という人物が、日本で初めてこの日にネクタイを製造しました。
それを記念して日本ネクタイ組合連合会が昭和46(1971)年にこの日を「ネクタイの日」に制定し、積極的な宣伝と販売促進活動を行っているのです。
2月14日
2月14日と聞いてまず思い浮かべるのは間違いなくバレンタインデーでしょうね。それ程この商戦は大勝利を収めているわけです。
そこで、この勢いに便乗したのがネクタイです。女性から男性へプレゼントさせるという趣旨です。
制定者は不明ですが、この2月14日も「ネクタイの日」とされています。
ネクタイについての考察
ところでネクタイというものはいつ頃からあるのでしょうか。日本では幕末までは洋服というものなどなかったわけですから、当然その歴史はそれ程古いわけではありません。
では元来洋服を着用している西洋社会ではどうだったのでしょうか。
西洋でのネクタイの歴史
西洋では、諸説ある中のひとつとして、そのルーツは古代ローマ時代と言われています。
戦地に赴くローマ兵士の無事を祈って、妻や恋人が贈ったスカーフを兵士が首元に巻いたのが始まりだとか。古代ローマ時代まで遡るとは恐れ入ります。
日本でのネクタイの歴史
日本で初めてネクタイが製造されたのは前述の通り明治17(1884)年ですが、もう少し経緯を詳しく見てみましょう。
幕末
幕末に幕府が開国し、西洋人が居留し始めると、洋服と一緒にネクタイも日本に導入されました。片山淳之助なる人物が慶応3(1867)年に上梓した「西洋衣食住」という文献に、ネクタイについての記述があり、それが日本で最初の記述と言われています。
明治初期
明治15(1882)年になると田中力蔵なる洋品雑貨商が、輸入品ではありましたが日本人として初めてネクタイを販売しました。しかし売れ行きはあまり芳しくなかったとのことです。
明治17(1884)年の小山梅吉の話は前述の通り。
明治中期
明治22(1889)年には大日本帝国憲法が制定され、この頃から男性の洋服が急速に普及し始めました。
明治27(1894)年、輸入商の丁稚奉公をしていた南文蔵という17歳の少年が、輸入されるネクタイに強く関心を持ち、自らネクタイの製造に着手しました。しかしこの時も売り上げは大したものではありませんでした。
翌明治28(1895)年、寺田商店を営む寺田銑三郎が、東京浅草瓦町で、ネクタイを日本人として初めて本格的事業として取り組み出し、時流にも乗って日本中にネクタイが紹介され、急速に普及していったのです。
|
まとめ
多くのサラリーマンが単なる儀式のように首に巻き付けているネクタイですが、実はなかなか奥深いものです。
日本製のネクタイは歴史は大して古くはありませんが、日本人としての試行錯誤の末に日本人のために生まれたものです。
イタリア製のネクタイは歴史も古く、とてもエレガントですから、何本かは持っていたいですよね。
これを機に、じっくりネクタイについて思いを巡らしてみましょう。せっかく「ネクタイの日」という特別な日まであるのですから。