犬山は愛知県の北端に位置する、人口約7万4千人の市です。この地帯は古代から小集落が発展し、古墳なども残されていています。
また、市内にある大縣神社は、その社伝によれば、垂仁27(紀元前3)年に、市内にある標高293mの本宮山の山頂から移転されたとあります。
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歴史ある町犬山
戦国時代には、小牧・長久手の戦いで羽柴秀吉が本陣を犬山城に置いたことで合戦の舞台にもなりました。その犬山城は、室町時代の天文6(1537)年に、織田信長の叔父である織田信康によって建てられ、天守は現存する日本最古の様式で、国宝に指定されています。
江戸時代になると、徳川家康に仕え、長篠の合戦などで活躍した武将の成瀬一斎の、その息子である成瀬正成が元和3(1617)年に犬山城を拝領し、以後明治になるまで代々成瀬家が、尾張徳川家の家老職でありながら城主を務めます。
明治4(1871)年には廃藩置県によって、犬山城は一度は愛知県の所有となりましたが、明治24(1891)年に起こった濃尾大地震によって天守が半壊し、同28年にその修理を条件として明治28(1895)年に県から旧藩主に譲与され、犬山城は再び成瀬家のものとなりました。
大正、昭和を経て平成の時代になってもなお、犬山城は全国唯一の個人所有の城という独特の存在でしたが、平成16(2004)年には財団法人犬山城白帝文庫に所有を移し、現在に至っています。
歴史と文化の町犬山
このように犬山には、今でもその歴史の足跡が町の至る所に数多く残されています。そしてその歴史を背景として、文化に重点を置いた学術拠点もたくさんあることで知られています。
それらは国宝犬山城をはじめとして、国宝茶室如庵、木曽川鵜飼いなどの、歴史ある有形無形の文化財であり、博物館明治村や野外民族博物館リトルワールドなどの一大テーマパークです。
城下町犬山
犬山は歴史と文化と伝統の町です。江戸時代以降は城下町として栄えた犬山ですが、そこで繰り広げられる豪華絢爛な祭があります。
毎年4月の第1土日曜に行われる犬山祭は、寛永12(1635)年に始まる針綱神社の祭礼で、国の重要無形民俗文化財に指定されています。
また、祭で使う山車は愛知県の有形民俗文化財に指定されて、3層の山車が13輌も城下町に繰り出す姿を見るだけでも圧巻なのですが、その上更に山車の上では笛や太鼓に合わせてからくり人形が披露されるのです。
それが夜になると、各車山に365個もの提灯に火が灯されて、時期的に満開となった桜並木で覆われた城下町を練り歩く姿は、正に幻想的で見惚れてしまい、時間が経つのも忘れてしまいます。
そんな犬山祭は、平成28(2016)年にはユネスコ無形文化遺産にも登録され、県や国のみならず、世界中から注目される祭となり、桜の時期とも重なって、近年では50万もの人が見物に訪れると言われています。
おわりに
城下町内には比較的大きめな駐車場があちらこちらにありますが、祭には何と言っても50万人もの観光客がやってきますので、やはり公共交通機関を利用されるのが一番良いかと思います。
犬山祭が繰り広げられるメイン会場の犬山城前広場までは、名古屋鉄道犬山線/各務原線/広見線/小牧線、犬山駅西口より徒歩約20分です。城下町の風情を満喫しながら、のんびり歩かれるのが宜しいでしょう。
なお、犬山祭で使われる山車は、やまと言い慣わされています。やま場の一番のだし物は、ダシではなくヤマですのでご注意下さい。