いつ頃からか、毎年秋になると必ずボジョレーヌーボーのことがあちこちで話題にあがるようになりました。これだけ毎年執拗に情報をインプットさせられると、今やボジョレーヌーボーが何なのか、知らない人など一人もいないでしょう。
でも、なぜ毎年秋頃から見聞きするようになるのでしょうか。それはボジョレーヌーボーの解禁日が毎年11月の第3木曜日と決められているからです。2018年の解禁日は11月15日です。
目次
ボジョレーヌーボーの解禁日とは?
この解禁日は世界共通で、11月第3木曜日午前0時を過ぎるまでは一般消費者への販売が禁止されています。
その時刻に販売するために、輸入業者はもちろん事前に購入しなければなりませんが、そうした取扱業者ですら決して前もって味見するような真似はできません。それができるのは生産者だけです。
この解禁日は、メーカーの早出し競争が過熱してしまった結果、早出し競争による品質低下を抑制するために1967年にフランス政府によって定められたものです。
初めは11月15日でしたが、15日が土日に当たると運搬業者が休みで蔵出しできないという理由で、途中で現在の11月第3木曜日に変更されました。
日本では紳士協定みたいなものですから、事の重要性が理解できずに時々フライングする不届き者がいるらしいですが、本場フランスでは法律化されていますから、取り決めに背けば罰せられることになります。だから健全な業者は日本においてでも、この取り決めを厳格に守っているのです。
ボジョレーヌーボーってそもそも何?
ところでボジョレーヌーボーって、一体何なんでしょうか。それがワインであることは、このご時世ほとんどの人がお分かりだとは思いますが、それ以上のことを知る人は随分減ってしまうのではないかと思います。
ボジョレーヌーボーはBeaujolais nouveauというフランス語のことで、ボージョレヌヴォーと表記した方がむしろ原音により近いかも知れませんが、ここではボジョレーヌーボーで通します。
産地としてのボジョレー
前半のボジョレーはフランスの地名です。フランス・パリの東南に位置し、ブルゴーニュ地方南部に隣接する丘陵地帯がボジョレーです。
ローヌ県北部、ソーヌ=エ=ロワール県の一部であるボジョレー地方は、ワインの産地として世界的に有名なところです。
酒としてのヌーボー
ヌーボーは英語で言うところのnew、つまり新しいという意味です。何が新しいのかと言うと、ワインが新しい,つまりは新酒ということです。
ボジョレー地方のワイン、すなわちボジョレーワインはガメイ種という独特な品種を使用しており、この地方の土壌や気候とマッチして、味わい深いワインを作り出していて人気があります。
ワインは通常十分な時間寝かせて熟成させるものですが、ヌーボーは熟成させません。ぶどうの収穫後、特殊な製法で速やかに醸造・ボトル詰めして、数週間という非常に短い間で世界各国に出荷されます。
なぜそのような中途半端みたいなことをするのかと言うと、ヌーボーの味で、その年のぶどうの出来がわかるからです。要するに、ヌーボーとは、バイヤーのための試飲用の新酒のことなのです。
それが今では本来の意味も目的も逸脱して、ボジョレーヌーボーがひとつのブランドと化してみんな先を争って飲みたがるのです。しかしその「試飲」後に、本物の熟成されたボジョレーワインを買って飲む人は、果たしてどれくらいいるのでしょうか。
2018年の状況
2018年の夏はフランス・ボジョレー地方でも日本と同じように猛暑が続いたようですが、適度に雨も降り、結果として作物には日光がさんさんと降り注ぎながら恵みの水も十分受け取ったので豊作が期待されています。
キャッチフレーズ
毎年解禁日が近づくと必ず販促のためのキャッチフレーズが発表されます。その年の出来を評価するフレーズは、毎回個々を見ればなかなか印象的です。
しかし全体的に眺めてみると酷似のフレーズが何度となく出てきて、かなり適当な感じもします。それでもそのことが逆に面白おかしいという人もいて、いずれにせよ毎年の発表からは目が離せません。
評価
2017年のフランスのワイン収穫量は歴史的低収量であったそうですが、2018年は昨年の実績を20%上回り、平均並みになるだろうとのことです。
今年のボジョレーヌーボーは品質、収穫量ともに非常に期待が持てるみたいです。
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おわりに
ボジョレーヌーボーは特に日本でだけ売れているわけではないみたいですが、日付変更線の関係から、本国フランスよりも早く、また他のどの先進国よりも早く飲むことができるということもあって、毎年その時が近づくとワイン通を気取った偽りの輩どもが必ず登場します。
黙って飲むだけならそれはそれで結構なのですが、蘊蓄を云々されては閉口せざるを得ません。
再度申し上げますが、ボジョレーヌーボーとはボジョレーワインの試飲用の新酒であり、味はどうかといえば、熟成もさせないで即効で醸造させただけだから、シャビシャビで深みなどありません。
しかもヌーボー自体はボジョレーワインだけに限らず、他の銘柄のワインにもあります。ボジョレーヌーボーだけがなぜか日本では有名になっていますが、本来どのヌーボーも試飲用であって、それ自体が決して高級酒などではありません。
ヌーボーだけ飲んで、みんなやっているからといって猿真似をして満足しておしまい、それではいけないのです。ヌーボーは次に進むためのステップに過ぎないのです。そこをよく知っておいて下さい。