一般参賀(いっぱんさんが)とは、一般人が皇居に入ることを許され、天皇皇后両陛下および皇族方と対面して祝賀したり、記帳して奉祝したりする皇室行事です。
皇居は、言わずと知れたかつての徳川幕府の要塞、江戸城であり、幕末の事件で歴史的に有名な桜田門や坂下門などをはじめ、いくつもの立派な門があって厳重に警備され、普段一般人が立ち入ることはできません。
その閉ざされた門の数々が、広く民衆に対して開け放たれるのが一般参賀なのです。門前でのセキュリティーチェックなどは当然ありますが、事前の予約等は一切必要ありません。
目次
一般参賀の経緯
一般参賀は、第二次世界大戦後の昭和23(1948)年から始まりました。当初は今の様な形ではなく、宮内庁の庁舎屋上に昭和天皇おひとりでおいでになり、そこから手を振られていました。
その後皇居内に新宮殿が完成すると、その一棟である長和殿(ちょうわでん)ベランダが舞台となり、他の皇族方とともにお出ましになるという現在のスタイルになりました。
宮殿について
昭和20(1945)年5月25日の空襲で、それまであった宮殿が消失して以降、昭和天皇のご意向もあって暫くは再建がされませんでしたが、昭和43(1968)年になって漸く現在の宮殿が完成しました。前者が「明治宮殿」、後者が「新宮殿」と称されています。
新宮殿は、正殿(せいでん)、豊明殿(ほうめいでん)、連翠(れんすい)、長和殿、千草の間・千鳥の間、表御座所棟、表御座所付属棟の7棟からなっています。
一般参賀に使われる長和殿は、南北の長さが163メートルもある細長い建物で、一般参賀以外にも、参内者の休所や、もてなし、拝謁等様々な用途に使われています。
一般参賀は年2回開催
一般参賀は、昭和23年の開始以来、わずか二度の例外を除いて、毎年必ず年2回開催されています。新年一般参賀と天皇誕生日一般参賀です。
新年一般参賀は毎年1月2日に、新年を祝うために開催されます。天皇皇后両陛下、皇太子皇太子妃両殿下、その他各宮家の成年皇族の方々が参加されるのが恒例です。
天皇誕生日一般参賀は毎年天皇誕生日に、今上天皇のお誕生日をお祝いするために開催されます。現在は12月23日、昭和の時代は4月29日でした。最近では天皇皇后両陛下、皇太子皇太子妃両殿下、秋篠宮家の成年皇族の方々が参加されています。
昭和天皇が体調悪化された昭和64(1989)年の新年一般参賀と、同年1月7日に崩御されたため自粛した、翌平成2(1990)年の新年一般参賀は開催されませんでした。これがわずか二度の例外です。
2019年の一般参賀は三度目の例外
平成31年1月2日には例年通り新年一般参賀が開催されます。長和殿ベランダにお姿をお見せになられるのは全部で5回です。
天皇皇后両陛下、皇太子皇太子妃両殿下、秋篠宮秋篠宮妃両殿下、秋篠宮第一王女子眞子内親王殿下、同第二王女子佳子内親王殿下が5回全てベランダに立たれ、他の皇族方は2回目まで登場する予定です。
お出ましになる時間は10時10分頃、11時00分頃、11時50分頃、13時30分頃、そして14時20分頃です。
参賀者は09時30分から14時10分までに皇居二重橋正門から会場に入り、退出は坂下、桔梗(ききょう)、乾、大手の各門からとなります。事前の申し込みは必要ありません。
今回は後方からでもよく見えるようにと、10日前の天皇誕生日一般参賀の時にも使用する大型スクリーンを2台設置する予定だそうです。
2019年5月1日以降は元号が替わっていますので、2019年の12月23日はすでに平成の御代ではありませんし、今上天皇は退位されていて、天皇誕生日ですらありませんので、一般参賀は間違いなく行われません。
2019年5月1日より第126代天皇になられる現皇太子殿下のお誕生日は即位日より前の2月23日ですから、2019年に天皇誕生日一般参賀が開催されることは絶対にありません。
よってこの2019年の新年一般参賀が平成最後の一般参賀となり、例年以上の非常に多数の来場が見込まれています。それで大型スクリーンなども用意する訳ですが、何よりも大変な混雑が予想されますのでことのほか行列の進みが悪かったりするかも知れません。
どうか時間の余裕を十分にもって来場して下さい。
おわりに
2018年12月23日の天皇誕生日一般参賀をあたかも平成最後の一般参賀のように伝えている記事をしばしば目にすることがありますが、それは大変な誤りです。
2018年12月23日の一般参賀は、平成最後の天皇誕生日、一方2019年1月2日の新年一般参賀は、平成最後の一般参賀、よって平成最後の一般参賀は2019年1月2日の新年一般参賀ということになります。
決して言葉遊びをしてふざけているのではありません。この違いは明確にしておかなければなりません。くれぐれも誤解のないようにしておいて下さい。