平成の世も間もなく終わりを告げようとしていますが、その前の昭和からちょうど平成に変わった頃から、日本の夏は猛烈に暑くなってきました。日本に限らず、世界中で異常気象が発生しています。
暑い寒いだけではありません。たとえば雨。一昔前の夏を思い返せば、空を見上げればモクモクとした入道雲があって、午後には夕立。急にバケツをひっくり返したように雨が降ってくるものの、ちょっと雨宿りしていればじきに止んで、止んだ後はむしろ爽快な気分になったものでした。
ところが近頃はどうでしょう。晴れたら死ぬ程暑くなってもお構いなしに晴れっぱなし。雨が降ればバケツどころか風呂桶をひっくり返したような雨が降りっぱなし。
そして台風もそうです。日本に上陸する時期も進路も大きく変わってきています。
目次
台風の分類
基本的に台風は、月々での発生回数や規模の差こそあれ、1年中発生しています。その中でも特に日本に上陸する台風を、従来は2種類に分類して区別していました。
夏台風
ひとつは7~8月に接近する夏台風です。
台風は南太平洋所で海水が温まって発生し、北上してきます。台風は偏西風と太平洋高気圧によって進路を左右されますが、この時期偏西風は日本の遥か北にあって、台風にほとんど影響を与えず、太平洋高気圧に邪魔されて、そのの縁をなぞるようにして九州・四国方面から日本海側へ抜けていきます。
風による影響が少ないため滞在期間が長く、比較的雨の被害が多いとされています。
秋台風
それに対して9~10月に接近するのが秋台風です。
秋には太平洋高気圧が日本から遠ざかっていき、台風にはほとんど影響を与えないため、日本に上陸しやすくなります。そして今度は偏西風の影響を受けて、上陸する途端速度が速くなります。よって比較的暴風の被害が多いです。
もともと台風は、南太平洋上で海水温が温められることで上昇気流ができることによって発生します。海水温が高い方が台風のエネルギーが蓄えられやすいのですが、海水の性質として一度温まったものは冷めにくいということがあます。
結果8月の一番暑い時期に温められた海水が冷めずに、
9月になってもさらに温められて、秋台風の方が、勢力が強くなります。
さらには秋雨前線が影響を及ぼして、暴風雨となることもしばしばです。
温暖化現象
地球は間違いなく温暖化しています。そのせいで日本列島はすでに亜熱帯化しています。
そしてその地球温暖化で海水温が上昇し、今まで以上に台風が発生しやすい状態が多くなりました。数も、時期も、進路も、勢力も、かつてない常識はずれの概念で日本に接近したり上陸したりしています。
春台風?冬台風?
今までは夏台風と秋台風というふたつの分類だけでしたが、今後は春台風、冬台風という分類が新たにできるかも知れません。
3月から5月を春とすれば、気象庁の1951(昭和26)年以降のデータによれば、3月こそ台風が一度も日本に接近も上陸もしていませんが、4月には度々接近し、上陸したことも1度あります。
同じく12月から2月を冬としてデータを見てみると、さすがにこの時期に上陸したのは皆無ですが、12月には上陸こそしていないものの、接近したことは何度もあります。
11月の台風に注意
11月にもなればさすがに暑さも和らいだりして、台風の日本への影響はせいぜい10月位までと思われがちですが、実は11月になってもまだまだ頻繁に台風が日本に接近してきます。1990(平成2)年には上陸したことさえあります。
11月の台風はあまり心構えもないところにやってくるので注意が必要です。秋台風であるため勢力も強い上に進路は相当不安定になってきます。今まであまり台風の影響を受けなかった東北や北海道などにも上陸すれば、経験値も少ないゆえ被害は甚大となる恐れもあります。
地球の温暖化で、今後こうした季節外れの台風が、きっと増えていくことでしょう。
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まとめ
地球は温暖化しています。日本は亜熱帯化しています。天候や気象について、従来の常識では通用しない局面が、すでに頻繁に起きています。
台風もそのひとつです。今までシーズンオフだった時期に、勢力の強い台風が、当たり前のように日本に上陸するようになるかも知れません。せめて11月迄は油断大敵でいきましょう。